ミニ講話 宮司のいい話
NO.205  天照大御神
     天照大御神がなぜ日本の中心的な神となられたかを、神話を通して勉強していきたいと思います。

     今から約千三百年ほど前に作られた、日本最古の文学作品といわれる「古事記」によりますと、男神の伊邪那岐命と女神の伊邪那美命が結婚され、日本の国土とたくさんの神々をお産みになられました。

     最後に火の神をお産みになられた時、女神のイザナミの命は大変な火傷をして亡くなられました。

     死後の世界に行かれた妻の女神を恋しがって、イザナギの命は死後の世界、黄泉の国へ女神を訪ねて行かれました。

     しかし、余りに変わり果てた、死後の世界の女神の姿を見て驚き、逃げ帰ったイザナギの命は、黄泉の国のケガレを祓うために川で禊をして清められました。

     禊をされたときにたくさんの神々がお生まれになりましたが、左目を洗われた時に天照大御神が生まれ、右目を洗われた時に月読命、鼻を洗われた時に須佐之男命が生まれました。

     この時イザナギの命は「私は今までにたくさんの子を生んだが、最後に素晴らしい三人の子を得た」と大変喜ばれました。

     そして、天照大御神にご自分の首飾りを授けられて、天上にある神の国、高天原を治めるように言われました。月読の命には夜の世界を、須佐之男の命には海の世界をそれぞれ治めるように言われました。

     しかし、須佐之男の命は与えられた海の世界を治めないで、亡くなられた母親のイザナミの命を思い悲しんで、泣いてばかりいるので、海の世界は荒れ果ててしまいあらゆる災いがおこりました。

     そこで、イザナギの命は大変お怒りになられて、須佐之男の命を追放されました。

     須佐之男の命は旅に出る前に、姉上の天照大御神に会って事情を説明しようと思われ、高天原に向かわれました。

     その時、その勢いがあまりにも猛々しく荒々しいので、山や川がみな驚きさわぎ、国土もことごとく打ち震えました。

     この様な状態をお聞きになった天照大御神は大変驚かれて、自分の国を奪うつもりで来るのだと思われ、戦の姿をして迎え入れました。

     須佐之男の命は、「私は決してやましい心で来たのではありません。その証拠に、お互いに子を産んで神意を伺い証明しましょう。」と言い、お互いの持ち物を交換して、かみくだき霧の様にはき出して子を産みました。

     須佐之男の命の持ち物からは女神が生まれ天照大御神の持ち物からは男神が生まれました。

     女神が生まれた須佐之男の命は、私の心が清らかで、いつわりがなかったので、女神が生まれたと喜び、勝った勢いに任せて乱暴を働きました。

     天照大御神が田を作っておられた畔をめちゃめちゃにしたり、田に水をそそぎ入れる溝を埋めたり、またその年の新穀をいただく神聖な御殿に屎をして廻るというような狼藉の限りを尽くしました。こういう乱暴な振る舞いを見ても、天照大御神は格別咎めようともせずに、

     「屎のように見えるのは酒に酔って吐き散らかしたからでしょう。田の畔をこわしたり溝を埋めたりしたのは、土地を惜しんでのことでしょう。」と善いように取られましたけれども、その乱暴な振る舞いは止みませんでした。ある日、天照大御神が清らかな機織場にて神に献上するための衣を織女達が織るのを眺めておられた時、その建物の屋根に大きな穴を開けて、まだら色をした馬の皮を尾の方から逆にはぎとり投げ込んだので、織女の一人が驚いて機具の端に突き刺さって、死んでしまいました。

     これをご覧になった天照大御神は、スサノオノ命のあまりに荒々しい仕業に恐ろしくなられ、天石屋の中に身を隠されてしまったのです。そのために天上も地上もたちまち永遠の夜となってしまいました。

     悪い神々はここぞとばかり騒ぎ始め、あらゆる災いが一時に起こってきました。

     この大事件を協議するために八百万の神々が自然と集り来て、話し合われました。そこで、知恵者である思金神の指示によって、闇夜に長く鳴く長鳴鳥を数多く集めて一斉に鳴かせるのとともに、青々と葉の茂った榊の木を根こそぎ掘り起こして、枝に曲玉の玉飾を取り付け、八咫鏡を取り掛け、これに白い布と麻を垂らして、神への捧げ物として太玉命がうやうやしく捧げ持ち、天兒屋命が、日の神が再び岩屋戸の中からお出ましになるよう祝詞を奏上されました。

     力持ちの天手力男神は岩屋戸の脇にこっそりと忍び隠れ、男勝りの女神である天宇受売命が、たすき鉢巻姿で台に乗り、足拍子面白く、音のとどろくばかり踊られました。この神懸かりの踊りの面白さに高天原が揺れ動くまでに、集まった神々が声を合わせて笑ったので、天照大御神が不審に思われて、岩屋戸を細目に開けられ、「何故そのように神々は声をあげて笑うのか」と尋ねられました。アメノウズメノ命が「あなた様よりもっと尊い神様がここにおられますので、私共は悦んでおります」と答え、鏡を天照大御神に見せられました。鏡には尊い神様のお姿が明るく照り輝いて映っているので、いよいよ不思議に思われた天照大御神は、少し戸の中から出て様子を見ようとした時、隠れていたアメノタジカラオノ神が天照大御神の手を取って岩屋戸の前に引き出されました。フトタマノ命は素早く後ろに注連縄を張り巡らして「これより内側には二度とお戻りにならないでください」と言われました。

     こうして天照大御神が再び姿を現されたので、天上の高天原も地上の葦原中国も自然と前のように明るく照り輝き、秩序ある世界へと回復したのです。

     天岩屋戸の前で行われた神々の神事が、現在の神社で行われるお祭りの原型となっており、神の御出現と御神徳を乞い願う儀式なのです。

     こうした神話の中に示されている天照大御神の御神徳は、第一にイザナギノ命が素晴らしい神が生まれたと喜ばれた通り、以前に生まれられた神々の良さをすべて兼ね備われた神であること、第二に弟神、須佐之男命の度重なる荒々しい仕業にも深い愛情と理解を示された寛容の徳を持たれた神であること。第三に岩戸隠れの折りに、あらゆる災いがことごとく起き、これを静めることのできるのは天照大御神の再出現による光の根源の回復しかないと八百万の神々が認め、天照大御神の光は社会生活を可能にする秩序そのものであって、明るさと秩序の徳を持たれた神であること。

     以上三つの点によって、天照大御神の御神徳が太陽を象徴するが如く、日本の中心的神様として国民に広く信仰されているのです。



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